プロジェクトストーリー|Vol.3 商品部編

STEP01 「待ったなしの緊急課題」と判断した、地震対策。

前商品部長 桜井 隆男/現商品部長 吉田 健治

萩原電気商品部では、従来から「ミスなく商品をお届けする」という使命を果たすため、日々努力を行っていた。そんな中、企業としてより強固な体制確立のため全社的な経営課題の洗い出しを行う中で、物流においても一つの問題が顕在化した。それは「非常時の商品供給」だった。

現状の体制では非常時に商品を供給できない可能性がある。これは商社としての存在意義を揺るがしかねない問題だ――
経営陣と当時の商品部長桜井はこの状況を重く受け止め、最大のリスクであると考えられる、地震をはじめとした自然災害発生時の事業継続計画(BCP)の策定を本格的にスタートさせることとなった。阪神・淡路大震災から10年以上が過ぎて人々の記憶が薄れ始め、東日本大震災が起きる前のことだ。

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STEP02 商品が落ちない。棚ごと倒れない。そのための方法を模索。

鈴木 正紀

商品部の重要なミッションとなったのが、地震に備える商品保全。中でも商品棚からの落下・転倒防止だ。愛知県みよし市にある商品部の物流拠点では、細心の扱いを要する自動車向け電子部品をメインに、保管在庫は約10万点に及ぶ。その大半が棚に収納されている。棚同士の連結による転倒防止策は取られていた。残る問題は、棚からの商品の落下だ。

取り組み始めた時期が早かったこともあり、社内外のどこにも参考事例がない中、現場責任者の鈴木は試行錯誤を重ねた。小さな棚の各段にチェーンを張って揺らしてみると、大きな箱の落下は防げても、小さいものはすり抜けてしまう。ネットやロールスクリーンを試してみたが、やはり落ちる。そんなある日、ホームセンターでスチール製の網を見つけた。寸法は棚にピッタリで、安価。試してみると結果は良好だった。ようやく方法が決まり、現場スタッフが2,000枚もの金網を順次設置していった。

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STEP03 震度6強の実証試験で証明された、対策の有効性。

金網の閉開・金網を固定する金具

金網の設置は、特注の金具によって振動に対する外れにくさと、作業者による開閉のしやすさを実現するとともに、ピッキングのしやすさを考慮して、外した金網がぶら下がるよう、取り付け方に工夫をした。開閉の手間に、現場スタッフは最初のうち抵抗感を持ったが、時間の経過とともにそれも薄れていき、商品保全に対する意識が徐々に高まっていった。

2014年、商品部の取り組みが試されるときが来た。仕入先からの「国立大学の専門研究機関の耐震実験装置を使って対策を試してみないか」という実証実験の案内と参加への打診であった。思わぬ効果測定のチャンス到来に迷わず参加した。震度6強(800~1000gal)の縦・横の揺れに対し、ネットやロールスクリーンによって対策を施した棚から商品が落下していく中、当社の対策を施した棚からは落下せず、金網の効果を見事に証明。立会いをした桜井は、自分たちの取り組みが有効であるという結果に安堵した。後日、持ち帰ったビデオ映像を見た鈴木は達成感を味わうとともに、ほっと胸をなで下ろしたという。

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STEP04 商品が間違いなく届く。その「当たり前」を、どんなときも

BCP対策イメージ

業界に先駆けた取り組みに、当社の主要なお客様の多くが興味を持たれ、見学に訪れた。商品保全を最優先に考えた我々のBCP対策に、「ここまでやるんですか」との驚きとともに、評価をいただいた。特に東日本大震災以降は、当社の方法を参考に対策を始めるお客様が増え、仕入先メーカーにも導入されている。

今後も萩原電気は、自動車向け電子部品を扱う専門商社として、創業以来約70年間培ってきたノウハウ・製品知識を活かし、多様化するお客様ニーズに応えていく。時代に合わせて常に進化し、期待を超える物流品質を提供するため、設備拡充や体制強化・人材育成といったあらゆる面から、商品部の模索は続く。「いかなる場合でも、商品を確実に供給し続ける」という、商社としての当たり前を守るために。

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